2014.07.12 狂信的スバリスト レヴォーグに乗る C

まず、動き出しで印象的なのは、FB25型エンジン 搭載の BM/BR型レガシィ より 「身軽」 であるということ。

 それは 「軽やか」 とか 「軽快」 という類のものではなくて、緻密な密度を持った物体が軽々と、重厚感 とともに、意図した通りに、動かしたい分だけ、フリクションを感じさせず スッ と動く快さ。

 その瞬間に、新開発の 1.6 直噴ターボエンジン の実力と徹底的なフリクションの低減、モノコックの強靭さ、足回りの剛性を感じ取る事ができる。

lEVORG DRIVING EXPERIENCE 福岡(7)

もうここで、世界のライバルたちを 断然リード、といった感じだ。

 それも当然である。基本的な メカニカル パッケージ は、世界最速の 2.0L 量産ロードスポーツである 新型 WRX / WRX STI と同じなのだから。

 これまで、レガシィ と インプレッサ は、基本的に同じシャシーを使いながら、細かい部分で 「作り分け」 をしていた。ロードスポーツ と ツーリングカー では、求める ベクトル の方向が違う、という解釈である。

 しかし、現在のグローバルな視点での スバル のラインナップ を考えた場合、それぞれに求められる アクティブ セイフティ、パッシブセイフティ を満足する基本骨格を担う、ほとんどの部分は共通で差し支えないと思う。

 そこから SUV、GT、ロードスポーツ とそれぞれのキャラクターに合わせてベクトルへ伸ばしていくべきだ。そもそも シンメトリカルAWD というライバルたちに対する絶対的なアドバンテージがあるのだから、「作り分け」 より、それぞれのキャラクターの 「違い」 を突き詰めて、どうしても変更が必要な コンポーネント の開発に、お金と時間を費やすべきだ。

 それを可能とするためには、そもそもの 「器の大きさ」、プラットフォーム の 「容量」 が必要だ。GJ / GP型インプレッサ から導入された 新プラットフォーム が優れているのは、こうした 「資質」 を最初から考慮して開発されたからだ。

 だから、外側から見ただけでは、ライバルたちと代わり映えしないように見える GJ / GP型インプレッサ の 1.6 には、そんなライバルたちを問題にしない 「オーバークオリティ」 だと思える部分がたくさんある。だが、動的質感やパッシブセイフティ のマージンを確保する上で、そうした部分は少しも無駄になっていない。

 そういう意味で、EyeSight が用意されないとはいえ、Gj / GP型インプレッサ の 1.6 は、実はグローバルな視点で 「とってもお買い得」 ということができるのだ。

lEVORG DRIVING EXPERIENCE 福岡(8)

福岡の都市高速を百道から下ると、100R とか 200R くらいの、なかなか楽しいコーナーの連続から始まる。

 とにかく「静か」 だ。ことによると BM/BRレガシィ より静かかも知れない。

 ステアリングからのバイブレーション、サスペンションからのハーシュネス、エンジンノイズなど、低級な NVH の遮断には、これまでの スバル では考えられないほどの徹底した 「作り込み」 が行われたことが理解できる。

私は飛ばす。このスピードでこのコーナーを回っていて、ブレーキで前に荷重を移せば、ほぼどんな クルマ でも、間違いなく 「回る」 というスピードでだ。

 最近は、ヨーロッパ車でも、VDC などの 安全デバイス に頼った シャシー の ダイナミクス を考えるところがホントに多くなった。私は 「筋が違う」 と思う。ちなみに、助手席には スバル のスタッフの方、後席には家内が同乗している。

 その皆様には誠に申し訳ないが、ここで私は強めにブレーキングさせて頂くことにした。

 驚くべきことに、わずかに起こった挙動変化は穏やかで、ステアリングのアジリティ、操舵力にも変化はなく、高速での スタビリティ の高さは素晴らしいものだった。

 1.6 GT EyeSight が履いているのは、215 / 50R17 という、17インチ とはいえ、45%、40% といったハイグリップタイプより、断面のケーシング剛性に劣り、なおかつ 燃費 と 乗り心地により配慮されたタイヤである。

 AWD は、前輪ロック、あるいは 後輪ロック はあり得ない。起こるとすれば 4輪ロック だが、そういう状況は、よほど路面の摩擦係数 μ が低いところでなければ起こらない。第一、そんな路面では 2WD ではまともに前に進むことすらできない。AWD は前後輪が常にプロペラシャフトで連結されている。トラクションばかりではない。そもそものブレーキ性能でも AWD は 2WD に対して圧倒的なアドバンテージを持っている。

 さらに、世界で初めて、富士重工業 自身が、初代BC / BF型レガシィ で、AWD + ABS という未知の組み合わせの作動ロジックを確立した ABS の秀逸な作動、その上、1987年の登場以来、磨きに磨き抜いた アクティブ トルク スプリットAWD が、状況に応じて最適な駆動力を配分して、なおかつ、VDC が車両を安定させてくれるのだ。

 そこに 世界一 の 予防安全システム EyeSight が加わる。

 はっきりいって、私には比べられる クルマ など存在しないと思えるのだが・・・。

 あ、そうそう、EyeSight も バージョン3 になったんだったね。その 「実力」 もちょっと拝見させて頂くことにしよう。


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